読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

dods’ blog - 今と昔のノートブック

今の記録は情報提供。昔の記憶は話題提供。気ままに記します。

根源的な問い

読書

年末に近所の図書館で借りた本から、「ふしぎなキリスト教 」に続いてもう一冊紹介。

他にもたくさん借りた関係で、この本は中学生の息子に先に読んでみたらと又貸し。どうやら読んでくれたらしく、昨日返してくれたので、この休みに一気に読みました。

筆者の顔ぶれに見覚えのある方も、そうではない方もいらっしゃるかと思いますが、自分には相当なじみ深い面々というか、信頼のおける人たちです。編者の内田氏ではなく、加藤氏の近著を検索していて見つけました。

加えてこのタイトル。何かについての一方的なお説教とは正反対の、でもあれこれ考えさせる内容なんだろうなあ、と想像してました。その通りでした。

切り口は違うのですが、今を生きるうえで「考えること」「表わすこと」が大事だと筆者達は決まって言及します。それと若者たちへの励まし、鼓舞も。そもそもは内田氏が若者に「根源的な問い」を示し、語るよう各筆者に要請し、生まれた本のようです。

どれも印象深い語りなのですが、ここでは特にその1つを紹介。作家の高橋源一郎氏による「表と裏と表 ー 政治のことばについて考える」

広島を訪問したオバマ大統領の演説を聞いて、筆者は内容のすばらしさが日本の首相のそれとは比ではないことを認めつつ、作家としての勘が演説にかすかな違和感を感じさせた。そこで、演説の主語に何が用いられているかを数えてみる。結果、「私(Ⅰ)」が極端に少ないことがわかる。

「政治的なことば」の傾向や指向性を、やはり言葉のプロである「作家の目」が探求し、警告を発する。しかも極めてシンプルな手順で。それは考えること、表わすことの実地研修、フィールドワークといった感じで、大いに説得力があります。

ほかにも、平川克美氏の、日本の人口減少を巡る俗説への実証的反論や、白井聡氏の、消費社会が日本の政治や教育に及ぼす悪影響への警鐘など、ずいぶん勉強になりました。

その意味で中高生でなくても、読む価値のある本と思います。ぜひご一読を。そしてもし中高生を持つ親御さんでしたら、お子様に一読を薦めてみて下さい。