dods’ blog - 今と昔のノートブック

今の記録は情報提供。昔の記憶は話題提供。気ままに記します。

TBS報道特集「7秒の記憶と生きる」は秀作でした

 先日(2016.5.21)のTBS報道特集が今なお頭から離れません。休日出勤から帰宅し、つけたチャンネルをボーと見ていたら始まった「7秒の記憶と生きる」。画面に釘付けでした。病気で脳に生じた後遺症から、記憶が7秒しか保持されない女性のルポです。

www.tbs.co.jp

想像してください。記憶が7秒後にはリセットされ続ける状況を。番組の女性は常にペンを持ち、メモを取りまくることで、この事態に挑んでました。しかも明るく、前向きに。番組を見る限り、その挑戦はすごくうまくいっていました。

ルポの終りは彼女が新たな仕事に励む場面。今後の活躍を影ながら応援です。ところでこの番組、自分を捕えたのも当然と言えば当然でした。脚本を研究し、自分でも書こうかと試みていた時期、ドラマのとっておきの題材の一つが人の記憶だと承知していたからです。

昔から、記憶喪失は小説や映画の格好の題材です(古いところでは米映画「心の旅路」(1942))。ところで、今回の報道特集の内容に相当する、記憶が保持できない事態を見事にドラマ化したのが小川洋子の「博士の愛した数式」(2003)でした。

テーマが自分の射程範囲なので、「博士」は雑誌掲載の時点で読みました。やられた!が正直な感想。できることならば、自分もこのテーマで創作できないかと 考えていたからです。この症例が決してドラマの世界だけではないことも、承知していたからです。ここからは自分の過去の記録を引っ張り出しての記載。

July 22,1997
 先週火曜日の深夜、NHK再放送で「記憶の失われた時-ある家族の2年半の記録」というタイトルの秀作が放映されていた。確か、ウェルニッケ症とか言う、記憶が保持できなくなる病気(逆行性健忘とも言っていた)にかかった人のドキュメンタリー。
 これはかなり悲惨な病気である。何よりも痛ましいのは、自分の記憶が消えてしまうという事実すら、記憶できないため、自分が病気である事実に頻繁に直面し、そのたびに混乱と驚愕を体験しなければならないのである。
 気の毒なことは本当に気の毒なのだが、何が感動を誘ったかと言って、この人を取り巻く家族のあたたかいまなざしが心をうった。見ていて、何度も涙を誘った。

この番組も今でもありありと思い出せます。そして、いずれの番組にせよ一番心打つのは、直面した尋常ならぬ事態に対して、本人や周りの人々が尋常ならぬ方法で事態をカバーしようとする、その姿勢です。

土曜日の報道特集では、それは彼女がかたときも離さず、書き続ける「メモ」でした(彼女の友人はメモを「あんたの脳みそやね」と称していた)。

97年のNHK番組では、それはビデオを撮り続ける家族の協力でした(取材陣が回復の助けになればと置いていったビデオカメラで家族は映像を盛んに撮り、時には本人による映像がまた涙を誘った)。

とても長いブログになりましたが、ぜひご感想をお聞かせください。